マンション管理適正評価を行いました

マンション管理適正評価制度 マンション管理士

マンション管理適正評価制度とは

一般社団法人マンション管理業協会が2022年4月から実施しているマンションの管理状況を客観的に数値化して、★0個から5個の6段階で評価される制度です。制度上の最高点が100点、理論上の最低点はマイナス98点で点数化されるものです。すでに5,000件超のマンションが評価を受けているそうです。

★の数点数管理状況
★★★★★90〜100点特に優れている
★★★★☆70〜89点優れている
★★★☆☆50〜69点良好
★★☆☆☆20〜49点一部改善が必要
★☆☆☆☆1〜19点管理に問題があるが、情報開示あり
☆☆☆☆☆0点以下管理不全の疑いあり

誰が何を評価するのか?

評価する側を「評価者」と言い、管理業協会指定の講習を修了した管理業務主任者またはマンション管理士により管理業協会が定めた基準に基づいて、ソフト面(管理組合運営状況)とハード面(建物や設備の維持状況)の30項目について評価を行います。

マンション管理適正評価制度の評価・登録業務に関しては、管理会社の担当者であっても、私のようなフリーのマンション管理士であっても、前述の指定講習を修了している「評価者」であれば実施することができます。つまり、今回私が実施したような管理会社との接点がない自主管理マンションでも受けることができます。

後で述べる管理計画認定制度との内容の違いですが、こちらはマンション管理業協会、管理計画認定制度はマンションが所在する自治体であり評価主体が異なる点と、マンション管理適正評価の方は特に安定的な財務基盤(修繕積立金の額や滞納の有無等)についての得点配分が40点と最も多くなっていることと、建物の維持管理体制(法定点検の実施履歴や修繕履歴の保管)が整っているかという項目がある点がマンション管理適正評価制度の特徴です。

費用はいくらかかるのか?

マンション管理適正評価制度の登録料としては管理業協会に対して、毎年5,500円(税込)の費用が発生します。この登録料に加えて、評価者によって異なる評価・申請手数料がかかります。

評価を受けることのメリットは?

マンション管理適正評価制度は、マンション管理適正評価サイトに、少なくとも物件名称、総戸数、物件所在地、建物階数、建築年次、管理委託形態、第三者管理方式の採用の有無、等級評価結果、管理計画認定の有無については公開されます。

マンション管理適正評価制度とは、「評価者」による評価とその評価内容の登録と公開がセットになったものです。必ず点数化され公開されることで管理運営上の課題が顕在化することやマンション管理適正評価制度の結果が、不動産市場における流動性に寄与することが期待されるのではないでしょうか。

管理計画認定制度との違いは?

今回、このマンション管理適正評価制度を実施した管理組合は、当事務所顧問先の管理組合で、既に名古屋市から2023年6月に管理計画認定を取得済みです。管理計画認定制度の枠組みでは、都道府県等は国のマンションの管理の適正化の推進を図るための基本的な方針に基づき、マンション管理適正化推進計画(以下「推進計画」という。)を作成できるようになります。その区域内におけるマンションの管理の適正化に関する指針を定めることができるようになるので、自治体によっては作成していないところもあります。その「推進計画」を作成していない自治体内のマンションでは、残念ながら管理計画認定は取得することができません。

管理計画認定制度には、いくつかのインセンティブが用意されていますが、そもそも「推進計画」が作成された自治体でしか受けることができないものです。加えて国の定めた認定基準16項目に各自治体によっては独自基準を加えることができるとされています。(名古屋市の場合は独自基準2項目の追加あり)

管理計画認定制度は、組合運営、管理規約、経理、長期修繕計画の作成と見直し(資金計画含む)その他として所有者及び居住者名簿の年1回以上の見直しと自治体独自基準になっており、当事務所でも実際に管理計画認定の事前確認に携わることがありますが、認定取得で一番難しいと感じる点では、長期修繕計画の様式と内容(資金計画含む)の部分です。認定を取得できるということは、これら項目全てが認定基準を満たす必要があり、その点でハードルが高く、管理計画認定申請を躊躇する管理組合が多いのではないでしょうか。

マンション管理適正評価を受けるべきマンションは?

マンション管理適正評価サイトでご自身の地区のマンションを検索されてみてはいかがでしょう。上にも述べました通り、マンション管理適正評価の特徴は、認定制度と異なり、すべての項目が完全でなくとも過去からの管理状況と今後の計画を含めた評価が点数化されるところにあります。つまり、管理状況の見える化が計られます。

私の偏見かもしれませんが、積極的にマンション管理適正評価を行う管理会社とそうでない管理会社があるようですし、必ずしも高得点のマンションばかりが評価を受けているようでもありません。詳細に点数化されますので、今後の理事会や区分所有者の管理に対する関心や意識変革の為のツールとして、モチベーション維持向上に非常に有用にはたらくものだと思います。

自主管理マンションや管理委託マンションでも管理会社での対応が難しいところ、管理計画認定は、すべての項目でのクリアは難しいが、自身のマンションの管理状況について客観的に数値化してみたいマンションにとって、マンション管理適正評価は受けておいてもよいのではないかと思います。

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